若い人のための洋楽ロック&ポップス名盤案内

やがて聴かれなくなるかもしれない'60~'80の海外ロックやポップスの傑作(個人的な意見)を紹介します。

Vol.43  Country Life ROXY MUSIC 1974

洗練とえぐみによる様式美が完成、

旬を迎えた人気アルバム。

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カントリーライフ/ロキシー・ミュージック

 様式美を確立し、成熟期を迎えたロキシーの代表作。楽曲、演奏のクオリティはいちだんと進化した。全英3位。全米チャートでは37位とアメリカでも初のトップ40入り。

 

 『カントリーライフ』は、ロキシーのアルバムの中でも人気の高いタイトルで、『サイレン』とともに、ロキシーがバンドとして最も脂が乗りきった時期のアルバムだ。実際に評価も高く、ローリングストーン誌が選んだ<The 500 greatest album of all time>に選ばれている。

 

 ちなみにロキシーのアルバムでは、本作以外に『アヴァロン』、『サイレン』、『フォー・ユア・プレジャー』が選ばれている。そこまで評価されているとは正直驚いた。で、うれしい。

 

 本作を出す少し前あたりから、ロキシーは人気も実力も上昇中であった。デビュー作、2作目にあった粗削りでアバンギャルドな部分は消えて、楽曲も洗練され、演奏力も向上していた。

 

 3作目『ストランデッド』で初の全英1位を獲得。バンドリーダーのブライアン・フェリィのソロも1作目、2作目とヒットし、やれるという確信も自信もついたのだろう。

 

 サウンドもこの頃から変化も見せた。2作目までいたブライアン・イーノが抜けて、代わりに、才能があって器用なエディ・ジョブソン(後にU.K.を結成してブレイク)が加入したのも影響したし、人気のあったイーノがいなくなり、フェリィがイニシアチブを握れたことも大きかった。

 

 4作目となる『カントリーライフ』は、全英1位こそ逃したものの、前作よりも充実した内容に仕上がった。楽曲の幅が広がり、アンサンブルも緻密になったし、聴きやすさも増した。

 

 ハードロックでもなく、ブルーズロックでもなく、プログレッシブロックでもない、風変わりなスタイルはロキシー独自の様式美として完成されている。

 

 ほとんどの曲はフェリィ作だが、ギターのフィル・マンザネラ、サックス、オーボエのアンディ・マッケイの書いた曲も際立ってよく、この二人無しにはロキシーは成り立たないことがよく分かる。

 

 また、エディ・ジョブソンの貢献も大きい。彼のエレクトリック・ヴァイオリン、キーボードはサウンドに華やかさや厚みをもたらしている。とくに「Out of the blue」でのヴァイオリンソロはみごと。他の曲でもストリングスで彩りを加えている。

 

 本作はアメリカでもはじめてトップ40入りしたわけだが、アメリカンロックのような「Prairie rose」や「If it takes all night」、ファンクのような「Casanova」といった曲が受けたかもしれない。とはいえ、ロキシーらしい解体と再構築のアプローチによる、<~のような>フェイクなテイストはしっかり出ている。

 

 次作『サイレン』を出した翌年の’76年に、ロキシーは解散。’79年に再結成するが、そこからのロキシーはバンドというよりユニットという印象で、サウンドも大きく洗練されていく。そんな完熟ロキシーも大好きなのだが、個人的にはえぐみのある美意識をたたえた本作の頃のロキシーに最も愛着を感じる。

 

♪好きな曲

 

Out of the blue

ライブの定番曲。ライブ盤『Viva ! Roxy Music』でのバージョンはスリリングでカッコいい。

 

The thrill of it all

ロキシー流ハードなロックンロール。ジョブソンのヴァイオリンがいい具合に音に厚みをつけている。

 

Prairie rose

マンザネラ作のファンキーなナンバー。めずらしくスライドギターが鳴っている。

 

Vol.42 Court And Spark Joni Mitchell 1974

淡い色彩と浮遊感。ジャズ、

フュージョン時代の最高作。

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コート・アンド・スパーク/ジョニ・ミッチェル

 ジョニの創造性が、ジャズ、フュージョンの名手たちによって大きく飛躍した。全米2位、64週もチャートインした傑作で、彼女のアルバムの中で最もヒットした。

 

 6作目となる『コート・アンド・スパーク』は、いわゆるジョニ・ミッチェルのジャズ、フュージョン時代の幕開けとなるアルバムである。フォーク時代と比べると、音の色彩感が華やかになった。ただし、くっきりとした原色ではなく、淡い彩り。

 

 彼女の音楽の特徴として、よく言われるのが浮遊感である。ふわりとした感触、風に乗ってゆっくりと飛んでいくような。それを具体化しているのが独特のコード進行だ。

 

 彼女はギタリストとしては、変則チューニングの名手と評され、変わった(しばしばジャズ的と表現される)コード感を生み出す。メロディもコードに呼応するように作られ、結果として浮遊感のある音がつむがれる。

 

 初期のフォークスタイルでは、表現を最大化するには不十分だとジョニ本人も思っていたようで、「私の音楽はあまりに風変わりだったので、彼ら(ロックミュージシャン)には演奏することができなかった」

 

 「私のハーモニーはよく奇抜だっていわれた。あまりにポリフォニックだって。彼らはそうしたコードをどう弾いたらいいかどうしても理解できなかった」と述べている。

 

 そこでジョニは、本作からジャズ、フュージョンのミュージシャンを全面起用し、新たな世界を開こうとした。もくろみは見事に成功し、アルバムもシングルも大ヒットした。

 

 参加ミュージシャンは、トム・スコット率いるL.A.エキスプレス、ジョー・サンプルラリー・カールトンらクルセイダースの面々。特にトム・スコットがプレイヤーとしても、アレンジャーとしてもよい仕事をしている。ホーンのアレンジが本当に素晴らしい。

 

 ジョニの歌声と浮遊感を際立たせるため、演奏は抑制を効かせているが、ちょっとしたソロやオブリガートがこの時代のフュージョンらしく気持ちよい。あまり言われないが、ジョニの歌声も魅力的だ。やさしく澄んだ音色がすっと入ってくる感じが好きだ。

 

 大ヒットシングル「Help me」はこの時点で、最も理想を表現できた曲であったと思う。彼女らしいギターのストロークをバックの演奏が心地よく乗せていく。

 

 軽快なリズムにジョー・サンプルのエレピや、ラリー・カールトンのギターが彩る。ソウルっぽいコーラスも素敵なアクセントになっている。そしてトム・スコットのホーンが中盤(1分40秒あたりから)から曲を盛り上げる。徐々に飛行高度を上げていくような雰囲気がすばらしい。パーフェクトなアレンジだ。

 

 ジョニは画家でもあり、映像作家でもある。それが影響しているのだろう。音楽についても、彼女の私小説的な世界、心象風景にあわせて、絵筆のようなタッチで繊細に歌を描いていく。

 

 やはり、カナダ生まれのシンガーソングライターの感性や美意識は独特だ。レナード・コーエンニール・ヤングしかり。

 

♪好きな曲

 

Help me

浮遊感と軽やかなグルーブが気持ちいい。シングルカットされ全米7位。

Help Me

Help Me

 Free man in Paris

Help meと似た感じ。ライブ盤『Shadows and light』でのバージョンも素晴らしい。シングルは全米22位。

Free Man In Paris

Free Man In Paris

Down to you

ジョニによるピアノの弾き語り。美しいストリングスとホーンのアレンジは、彼女とトム・スコット。

Down to You

Down to You

 

Vol.41 BREAKFAST IN AMERICA SUPERTRAMP 1979

世界中で売れまくった、

プログレ系ポップ。

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ブレックファスト・イン・アメリカ/スーパートランプ

 4週連続で全米1位を獲得。アメリカだけでも400万枚を売り上げ、ヨーロッパ、オーストラリアでも大ヒット、世界で1800万枚も売れた。本国イギリスでは3位。日本でもCMに曲が使用され、オリコン年間チャート29位とヒットした。

 

 スーパートランプのサウンドを分かりやすくいうと、プログレッシブ・ロックをぐっとコンパクトにして、大げさな展開や冗長なインストパートを無くして、親しみやすくした感じ。いうなれば、プログレ系ポップ。

 

 '70年代の半ばになるとイギリスでは、そういうタイプのバンドが出てくる。有名なところでは、アラン・パーソンズ・プロジェクト、ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)、10CC。中期のクイーンも入れてもいい。

 

 スーパートランプは、ロジャー・ホジソンとリック・デイビスという優れたソングライター、プレイヤーの双頭バンドだ。ウーリッツァのエレピが全面に出た、哀愁とドラマティックなサウンドが持ち味。

 

 面白いのは、ホジソンとデイビスの書く曲が対照的なことだ。ホジソンは、シンガーソングライター然とした、弾き語りでも似合う曲が得意だ。エルトン・ジョンギルバート・オサリバンのような憂いを含んだ曲はいかにも英国的といっていい。

 

 デイビスR&Bからの影響を感じさせる、アレンジで魅力を輝かせる曲作りが得意だ。曲のクレジットは、ホジソン・デイビズとなっているが、たいていメインライターがリードヴォーカルをとることが多い。ホジソンの歌声はハイトーンなので分かりやすい。

 

 ヒットしたシングルはホジソン作が多い。本作からは4曲がシングルカットされたが「Logical song」(全英7位、全米6位)、「Breakfast in America」(全米10位)、「Take the long way home」(全米10位)と3曲がホジソン作。

 

 デイビスの「Goodbye stranger」もよい曲だと思うのだが、全米15位、全英57位。ホジソンの曲の方が親しみやすく、シングル向きなんだろう。

 

 スーパートランプの人気が高まりだしたのは、3作目『CRIME OF CENTURY』から。この時はまだプログレッシブ・ロック色は濃い。なかなか楽曲が充実して傑作である。

 

 それでもサウンドは徐々に親しみやすさを増し、プログレッシブ色は少なくなっていく。本作でも基本的なスタイルは変わっていないが、ポップ度は高い。そこがヒットの理由だろう。

 

 とは言え、なぜこうもアメリカで大ヒットしたのか。楽曲が良いのは分かるが、サウンドが急に変わったわけでもない。当時は、中庸の美学をもったフリードウッド・マックが人気を博しており、ロックでも軽さや親しみやすさが受けた時代だったのかもしれない。

 

 さらにアルバムタイトルや楽曲に<アメリカ>、<ハリウッド>といったアメリカに関する言葉が使われているし、あの一度見たら忘れられないアルバムジャケット(ジャケットデザインはグラミー賞受賞)のアメリカをイメージしたユーモアも影響したのではないか。

 

 ビートルズ解散しなかったらこんな感じになっていたかもと友人が言ったのが印象的で、ビートルズ各自のソロ活動から考えると、言いえて妙だなと思ったものだ。

 

♪好きな曲

 

The logical song

ボードビル調の曲で、デイビスはこの曲が気に入らなかったらしい。

The Logical Song

The Logical Song

  • スーパートランプ
  • ロック
  • ¥250

 Goodbye stranger

デイビスには珍しくシンプルで親しみやすい。ホジソンに対抗したか。

Goodbye Stranger

Goodbye Stranger

  • スーパートランプ
  • ロック
  • ¥250

 Lord is it mine

ホジソンらしい美しいメロディのバラード。

Lord Is It Mine

Lord Is It Mine

  • スーパートランプ
  • ロック
  • ¥250

 

Vol.40 Stand ! SLY & THE FAMILY STONE 1969

ファンクであり、ロックでもある、

愉快なブラックミュージック。

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スタンド!/スライ&ザ・ファミリー・ストーン

 ソウル、ファンク、ロックが絶妙に交じり合ったスライ流ブラックミュージックが開花、名曲ぞろいでグループの出世作となった。200万枚ものセールスを記録し、全米13位。2年間もチャートインした。

 

 スライ&ザ・ファミリー・ストーン(以下、スライ)の面白さは、ブラックミュージックの中にあっても、真っ黒でないことだ。

 

 ファンクでありながら、ロックでもあったりする。他のファンク、たとえばジェイムズ・ブラウンと聴き比べてみるとブラックの濃度が違う。スライは白人のロックやポップスみたいな部分もあり、ブラック一辺倒ではなく、グラデーションがかかっている。

 

 このグループが黒人白人、男女、家族と他人の3つのレイヤーを持った混成であること。そして、さまざまな人種と異文化を飲み込んだベイエリア、サンフランシスコで生まれたということがそうさせたかもしれない。

 

 そんなバックグラウンドから生まれた、ユニークなスタイルが開花したのが本作『スタンド!』だ。はじめてのシングル全米1位「Everyday people」をはじめ「Stand!」「I want to take you higher」「Sing a simple song」といったソウル、ファンクの名曲が揃っている。

 

 ポップなメロディ、キレのよいリズム、いかしたホーン、男女リレーで歌うヴォーカル、ゴスペルを思わせるコーラスがみごとに溶け合った、愉快でカッコいいアンサンブルは、スライ流としか言えないスタイルだ。

 

 歌には、'69年という時代らしく、<立ち上がろう!>、<ニガーって呼ぶなホワイティ>、<黒人だからといってあきらめずに>…など強くポジティブなメッセージが盛り込まれている。社会を敵視しているわけでもなく、シニカルな部分はあるものの攻撃的でもない。

 

 パワフルなファンクもあるが、ソフトロックのような曲もある。このへんが黒人白人混成グループらしい。また、エレクトリック時代のマイルズ・ディビスを思わせる13分ものジャムナンバーもあって、スライの面白さがつまった作品に仕上がっている。

 

 前作のセールス不振をばん回するべく、音楽理論オーケストレーションの本を手に、レコーディングに取り組んだだけのことはあった。

 

 その後、スライはウッドストックへの出演、シングルヒット(全米1、2位)連発と快進撃をみせたが、ドラッグによるスライ・ストーンの不調やコンサートのキャンセル頻発などトラブルが続いた。

 

 それでも、'71年には大傑作アルバム『暴動』(全米1位)を発表。このあたりをピークに、スライ・ストーンの創造性は輝きを失い、アルバムセールスも下降気味となり失速していく。

 

 やがてグループも解散スライ・ストーンは真の復活を遂げていない。それでも、マイルズ・ディビスやプリンスなど、さまざまなアーティストに影響を与えたし、本作の歌詞は、寛容性や多様性を失いつつある、いまの世界にも響くかもしれない。

 

 いや、そんなことはどうでもいい。楽しくて面白い音楽なのだ。聴かないのはもったいない。

 

♪好きな曲

 

Stand!

2分16秒からのファンキーなコーダがあったからこそ名曲となったと言われる。

Stand!

Stand!

  • スライ&ザ・ファミリー・ストーン
  • R&B/ソウル
  • ¥200

 I want to take you higher

ファンクにしてロック。強烈なカッコよさ。デュラン・デュランのカバーもなかなか。

I Want to Take You Higher

I Want to Take You Higher

  • スライ&ザ・ファミリー・ストーン
  • R&B/ソウル
  • ¥200

 Everyday people

僕は普通の人間、人は千差万別、みんな共存しているという楽観的な歌詞が軽快な曲調とぴったり。

Everyday People

Everyday People

  • スライ&ザ・ファミリー・ストーン
  • R&B/ソウル
  • ¥200

 

Vol.39 TIN DRUM JAPAN 1981

漂うオリエンタリズム、跋扈する

変態リズム、極北のエレクトロポップ。

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錻力(ブリキ)の太鼓/ジャパン

 バンドの創造性が臨界点に達した5作目。案の定、ラストアルバムとなった。チャートは全英12位とオリジナルアルバムの中では最もヒットした。

 

 ジャパンの音楽性が高く評価されるようになったのは、3作目の『クワイエット・ライフ』から。それまでは日本で熱狂的な人気はあったものの本国では無視され、まったく売れなかった。

 

 いま聴くと無視されるほどひどくはない。アルバムやシングルの何曲かは悪くはないし、ジョルジォ・モルダーがプロデュースした「Life in Tokyo」なんていいなと思ったこともあった。

 

 ところが『クワイエット・ライフ』から突然覚醒、イギリスでもチャートイン。サウンドもがらりと変わった。70年代のロキシー・ミュージックや、ベルリン時代のディヴィッド・ボウイを思わせる曲調に、シンセを前面に出したスタイルへと変化した。

 

 次作『孤独の影』では、ぐっと音楽に深みと幅が加わる。YMOとの交流も影響したのだろう、ジャパンは急速に力をつけていった。そして、本作で一気に極北までいってしまった。

 

 前作までの陰影のあるヨーロピアン路線から、アフリカなど非西洋世界のサウンドを大きく取り入れた、エレクトロ/テクノポップへと変わった。聴きにくいことはないが、好みのはっきり分かれる作風だと思う。

 

 西洋人の若者が見た文化大革命中の中国というのがコンセプト、確かにオリエンタルな旋律が顔を出しているが、アフリカ、中近東を思わせるリズムもあったりと中国イメージ一色というわけでもない。

 

 ジャパンの隠し味ともいうべきソウル、ファンクのアプローチは健在だが、ダンスミュージックにならないところがあまのじゃく体質の彼ららしい。音数は少ないが、凝ったサウンドで残響が少ないためか妙に圧迫感がある。

 

 バンドの顔であるデヴィッド・シルヴィアンの物憂げな低温ヴォーカルと、独特のリズムによるオリエンタリズムは鮮やかな極採色ではなく、渋い色彩である。

 

 ミック・カーンのフレットレスベースと、スティーブ・ジャンセンの手数の多い、複雑なドラミングから放たれるビートは、英国随一の変態リズムセクションと言われただけのことはある。特に地球外生命体のような動きをみせるベースのフレーズは、ステージ上のミックの動き同様とてもユニークだ。

 

 本作発表の翌年にバンドは解散。ようやくイギリスでも高く評価され、人気上昇の矢先だった。そんな追い風にも目をくれずさっさと店じまい。やはり筋金入りのあまのじゃく。

 

 ‘91年にジャパンは、<レインツリー・クロウ>という名で再結成しアルバムを出す。ジャパン時代とは全く違う、アンビエントなルーツミュージック風のサウンドに昔からのファンは困惑したと察するが、僕は気に入ってる。

 

 ニューウェーブ、エレクトロ/テクノポップのシーンにあって、多くの面白いバンドやアーティストが登場したが、創造性と存在感という点で、ジャパンはウルトラヴォックスと共に頭ひとつ抜けていたように思う。

 

♪好きな曲

 

The art of parties

パーカッシブなドラムが響くエレクトロファンク。先行シングルよりアルバムバージョンの方ができが良い。

The Art of Parties

The Art of Parties

  • ジャパン
  • ロック
  • ¥250

 

Still life in mobile homes

一番好きな曲。カッコいい変態リズムセクションがたっぷり味わえる。 

Still Life In Mobile Homes

Still Life In Mobile Homes

  • ジャパン
  • ロック
  • ¥250

 

Visions of china

ドラムはアフリカンで、フレーズはオリエンタルという風変わりなファンク。

Visions of China

Visions of China

  • ジャパン
  • ロック
  • ¥250

 

Vol.38 CLOSEUP Frankie Valli 1975

ゴージャスでスウィート、

粋な70’アメリカンポップス。

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瞳の面影/フランキー・ヴァリ

 フォー・シーズンズのリード・シンガー、フランキー・ヴァリの3作目のソロアルバムで、70年代アメリカンポップスの名盤といっていい。アルバムは全米51位だったが、全米1、6位のヒットシングルを収録、素敵なブルーアイドソウルが聴ける。

 

 ヴァリのソロといえば、全米2位の名曲『Can’t take my eyes off you(君の瞳に恋してる)』の入った第1作の方が知られているかもしれないが、本作の方がだんぜん好みである。

 

 ストリングスやホーン、女性コーラスがふんだんに使われたメロウでスウィートな口あたりが、いかにも70年代の都会的なアメリカンポップスという感じでたまらない。

 

 フォー・シーズンズはアメリカ60年代を席巻したグループで、1962~78年までにシングル全米1位が7曲、トップ3入りが12曲、トップ10入りが19曲、トップ40入りが39曲と輝かしい実績を持っている。

 

 2014年に公開された映画『ジャージー・ボーイズ』は、彼らの栄光と挫折を描いたもので、好きにならずにはいられない魅力があり、エンドタイトルの後に思わず拍手したくなったほど。

 

 本作が発表された少し前の1972年頃、当時の所属レーベル、モータウンとは関係がよくなかったようでフォー・シーズンズは低迷。そこでヴァリは、再起をかけて新興したレーベルに売り込みをかけ、契約を結んだ。そして作られたのが本作である。

 

 75年3月に出したシングル「My eyes adored you(瞳の中の愛)」は全米1位を獲得。同年にはフォー・シーズンズも全米1位、3位とヒットシングルを連発、ソロ、グループともにみごとに復活を遂げた。

 

 ヴァリの歌が良いのは言うまでもないが、フォー・シーズンズ人脈の製作スタッフがいい仕事をしている。プロデュ―スはボブ・クリューとボブ・ゴーディオ。クリューはヒットメイカーのプロデューサー、ゴーディオはフォー・シーズンズのメンバーで作曲、キーボード担当。ヴァリとフォー・シーズンズのヒット曲のほとんどはこのコンビから生まれている。

 

 全体的にメロウで落ち着いた雰囲気のアルバムだが、後半にヒットシングルが登場するあたりから熱量が高まり、聴き進むうちにぐんぐんと魅かれていく。聴きどころは、美しいバラード「My eyes adored you(瞳の中の愛)」と、ゴージャスなディスコチューン「Swearin’ to god(神に誓って)」だ。

 

 前者はヴァリ復活のきっかけを作った曲だ。73年に作られて未発表となっていたが、ヴァリとゴーディオがモータウンから4000ドルで買い取り、レーベルの社長に5回聴かせて契約を取ったという。

 

 後者はアルバムでしか聴けない長尺バージョンだ。名手チャーリー・カレロ(ローラ・ニーロ山下達郎の作品のアレンジも手がけた)のメロウとグルーブが一体となった、キラキラしたアレンジが素晴らしい。

 

 フォー・シーズンズのベスト盤には、ヴァリのヒット曲も収録されていることが多いので、ついでにフォー・シーズンズも聴いてほしい。ヴァリが気に入ったのなら、たぶん気に入ると思う。そしたら『ジャージー・ボーイズ』も観たくなる。完璧なコースだ。

 

♪好きな曲

 

Swearin’ to god

シングル2弾、全米6位。シングルは4分ほどだが、アルバムバージョンは10分。

Swearin' to God

Swearin' to God

 My eyes adored you

映画『ジャージー・ボーイズ』で娘とヴァリとの幸せなシーンと悲しいシーンで流れていた。

My Eyes Adored You

My Eyes Adored You

 I can’t live a dream

70年代らしいメロウ成分たっぷりのソウルナンバー。

I Can't Live a Dream

I Can't Live a Dream

 

Vol.37 Brain Salad Surgery EMERSON , LAKE & PALMER 1973

ライブ映えする楽曲がずらり、

絶頂期を迎えたバンドの人気作。

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恐怖の頭脳改革/エマーソン、レイク&パーマー

 代表曲にしてライブ映えする「悪の教典#9」を収録、じっくり時間をかけただけあって楽曲も演奏も充実。ケレンみだらけのパフォーマンスが走る。全英2位、全米11位、日本でもオリコンチャートに入った。

 

 クラシックを大げさにアレンジした『展覧会の絵』や、ドラマティックな『タルカス』はそれほど好みではないが、このアルバムと1stは好きでよく聴いた。ELP(エマーソン、レイク&パーマー)の最高傑作だからというわけではなく、ロックンロール成分が高いおかげで一気に聴けてしまうからだ。

 

 『タルカス』も完成度が高いが、重厚感に聴き疲れしてしまう。それに比べて、『恐怖の頭脳改革』には、ノリとスピードがあるので、耳にも脳にももたれないのだ。

 

 おどろおどろしい邦題と、ジャケットに使われたメデューサをモチーフにした気味の悪いH・R・ギーガー(後に映画エイリアンのデザインを手がける)の絵から連想するイメージとは反対に、全体的に軽快で聴きやすい。

 

 『恐怖の頭脳改革』は、ELPにとって5作目のアルバムで、自らのレーベル<マンティコア>の最初の作品でもある。’70年のデビュー以来、ハイペースで4作のアルバムを発表してきたわけだが、4作目の『トリロジー』の曲は、多重録音を多用したため、ライブには不向きだった。そこで新作ではライブでも、演奏可能かつ映えるような曲作りをめざした。

 

 1年近くじっくりと時間をかけただけあって、楽曲も演奏も充実。前半に並んだのがタイプの違う4曲、後半は29分の組曲悪の教典#9」である。

 

 キース・エマーソンの押しの強いキーボード・プレイは攻撃的で、けたたましく、アクロバティックだし、カール・パーマーのパーカッションのようなドラミングはせわしない。本作ではこれまで以上にモーグシンセサイザーがふんだんに使われ、ハードで鋭いサウンドとなっている。

 

 コンピュータに代表される高度なテクノロジー社会と人間性との闘争をテーマとした組曲悪の教典#9」が聴きどころだが、組曲というわりにはパートの流れは強引である。

 

 前半のハードロックっぽいパートでも、中間のソロプレイがめまぐるしいパートでも、後半の勇ましいファンファーレパートでも、エマーソンやパーマーのテンションの高いプレイが披露される。スピーディーで勢いがあってカッコいい。やり過ぎな感もあってちょっと笑ってしまうけど。

 

 なぜそうしたサウンドが生まれたのか。それはキーボードトリオという小さなユニットが、ハードなギター擁するロックと張り合うためだ。エマーソンにしてみれば、そうでもしないとインパクトを残せないという思いがあったのだろう。

 

 その結果、唯一無二のスタイルが生まれたのである。その意味で、ロックのイノベーターという面からでもELPはもっと評価されていいと思う。ところで80年代のアニメ映画『幻魔大戦』の音楽はエマーソンが手がけたわけだが、アク抜きした『恐怖の頭脳改革』みたいでわりと好きなんだ。

 

♪好きな曲

 

Jerusalem

冒頭を飾る荘厳な曲。英国の讃美歌で2012ロンドン五輪開会式でも演奏された。

Jerusalem

Jerusalem

  

Still…you turn me on

ELPの叙情を担うグレック・レイク作。唯一ほっとする曲。

Still...You Turn Me On

Still...You Turn Me On

 Karn Evil9

めまぐるしい展開、矢継ぎ早に繰り出される技、終盤近くに「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌のようなフレーズが流れる。