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若い人のための洋楽ロック&ポップス名盤案内

やがて聴かれなくなるかもしれない'60~'80の海外ロックやポップスの傑作(個人的な意見)を紹介します。

Vol.34 CARAVANSERAI SANTANA 1971

熱気とクールネス、圧倒するほど

ダイナミックなアンサンブル。

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キャラバンサライサンタナ

 フュージョン時代の最高作だ。リズムの洪水の中を縦横無尽に駆け巡るギター、ドラマティックな展開に圧倒される。インストゥルメンタル中心ながら、全米8位。

 

 一般的には、フュージョン期の最高作と言われる『キャラバンサライ』だが、個人的にはサンタナ全作の中でも、1、2を争うアルバムだと思っている。(といっても90年代以降のアルバムはあまりちゃんと聴いていませんが)。

 

 ‘69年のアルバムデビュー以来、早くも2nd、3rdという名盤を生み出したサンタナだが、この時期は、さらに表現への欲求も高まり、創造性も上昇していたのだろう。4thアルバムとなる本作では、スケールアップしたサウンドを聴くことができる。

 

 録音メンバーには、後にジャーニーを結成する、ニール・ショーングレッグ・ローリーといった、いわゆる黄金期の面々が参加、カルロス・サンタナ自身が大きな影響を受けたマイルズ・ディビズ、ジョン・コルトレーンからのインスピレーションが色濃く反映されたことで、魅力ある楽曲と演奏が生まれたことが大きい。なるべくしてなった最高作と言っていい。

 

 本作はインスト曲中心で、組曲のような構成になっている。明確なコンセプトがあるわけではないが、サウンドは全編同じトーンで貫かれている。

 

 フュージョンっぽいとは言われるが、ダイレクトに表現されているわけではなく、ブルーズとアフロ・キューバンのハイブリッドというサンタナサウンドの基本形に融合されているといった方が正確だ。

 

 そのため、それまでのこってりとしたラテンロック色は少し抑えられ、代わりにジャズやファンクのもたらすクールネスが際立っている。

 

 インスト曲中心のため、サンタナサウンドの骨格である、ドラム、パーカッションのダイナミックなリズムはくっきりと表現され、その音空間の中をギターやキーボードが縦横無尽に駆け巡る様がよく伝わってくる。

 

 幕開けこそ静かだが、徐々に熱気が立ち昇り、3曲目の「Look up」あたりからカルロス・サンタナのギターが加速、そのまま最初のクライマックス「All the love of the universe」へと突き進む。後半のたたみ込むようなギター、オルガンのソロが痛快だ。

 

 ボサノバの法王、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Stone flower」でいったん落ち着くが、ジャム風ナンバーも挟んで、最終曲「Every step of the way」へとなだれ込む。ドラマティックなオーケストレーションに彩られた大団円にふさわしい曲で、その迫力に圧倒される。なるべく大きな音で聴くといい。快感が倍増する。

 

 ところで、このアルバムはマイルズ・ディビズの『スケッチ・オブ・スペイン』への返答といった解釈を何かで読んだ。言われてみれば、ラテンの官能と叙情性、劇的なカタルシスが耳に残るところが共通しているように思える。

 

 特に「Every step of the way」と『スケッチ・オブ・スペイン』の最終曲「Solea」の感触はよく似ている。マイルズを敬愛していたカルロスのことだ。たぶん意識したのではないだろうか。

 

♪好きな曲

 

Look up(to see what’s coming down)

アフロ・キューバンのリズムと、推進力のあるカルロスのギターがカッコいいファンク。

 

 

Look Up (To See What's Coming Down)

Look Up (To See What's Coming Down)

 

Just in time to see the sun

数少ない歌モノの1曲。歌はカルロス。アルバムの中では最もロックっぽい。

 

Just In Time to See the Sun

Just In Time to See the Sun

 

 

Song of the wind

軽やかなジャズボッサのリズムに乗って、カルロスのギターがよく歌っている。

 

 

Song of the Wind

Song of the Wind

 

Vol.33 Hats The Blue Nile 1989

美しく端正、魔術のような音の空間、

比類なきエレクトロ・ポップの名作。

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ハッツ/ザ・ブルー・ナイル

 英国の至宝とよばれるグループが、手間ひまかけて磨き上げた宝石のような作品。名うてアーティストたちに愛された隠れた名盤。

 

 神秘的な響きをもった名前のこのバンドは、プリファブ・スプラウトとともに英国の至宝と呼ばれたこともあったが、今や秘宝といった方がふさわしい。心配するほど寡作なのだ。

 

 1983年にデビューして以来、2016年現在までに出したアルバムはたった4枚。最後のアルバムが2004年だから、もう12年も新作がない。メンバーのポール・ブキャナンのソロはリリースされたものの、解散しているのか、それとも休止しているのかもよく分からない。

 

 デビュー作は習作という印象があるが、すでにスタイルはできあがっていた。この2ndアルバム『HATS』で、彼らはがぜん注目を集める。シングルもアルバムもヒットしていないにもかかわらずだ。

 

 彼らをまっさきに見つけ、評価したのはミュージシャンや音楽評論家だ。ロビー・ロバートソンやピーター・ゲイブリエルは自身のアルバムに呼んだし、リッキー・リー・ジョーンズジョイントツアーを行った。ロッド・スチュワートアニー・レノックスは曲をカバーした。

 

 日本で紹介されたときもそうで、高橋幸宏鈴木慶一か、それとも他の方か、記憶があやふやなのだが、僕も著名なアーティストが絶賛していたのがきっかけで聴いた。

 

 ブルー・ナイルのサウンドは独創的だ。分類すればエレクトロ・ポップだが、同時代に流行った音とは全く異なる。サウンドは美しく端正な佇まいをもっている。音数は少なく、ストリングスやブラスを思わせるシンセによるゆったりとした、静謐な音の空間といった感じだろうか。丁寧に作り込まれた工芸細工のようである。

 

 そしてブキャナンの歌声だ。時に物憂げに、時に熱さを交えながら、詩を詠むように歌う。耳にすっと入り込み、感情のひだに沁み込んでくる。

 

 曲作りにじっくり時間をかけるようで、『Hats』も前作から5年ぶり。スタイルは変わっていないが、前作と比べると楽曲もアレンジも録音も格段に向上している。霞のようなエレクトロニクスとアクースティックの響きがよい塩梅で表現されている。

 

 とくに冒頭からの4曲は素晴らしい。聴いていると、意識の中に青い夜の帳が降りてきて、ファンタジックな世界が広がる。音の魔法とはこういうものだろうか。

 

 この後、2枚のアルバムを出して長い沈黙に入っているわけだが、半ば新作をあきらめていたプリファブ・スプラウトだって長すぎる休止を終えて、新作を届けてくれたのだ。望みは捨てずに気長に待つ。もし、クラウドファンディングでアルバム制作費を募るなら、迷わず出したい。少額ですけど。

 

 それにしても、スコットランドアイルランドとともに素晴らしいミュージシャンの宝庫だ。80年代のネオアコや、90年代のギターポップで好きだなと思ったバンドは、たいていグラスゴー出身だ。なぜこうも温もりと冷たさ、叙情性と情熱を秘めたサウンドが生まれるのか不思議だ。

 

♪好きな曲

 

The downtown lights

ブキャナンのソウルフルな歌に触発されたのか、ロッド・スチュワートアニー・レノックスもカバー。

The Downtown Lights

The Downtown Lights

  • The Blue Nile
  • ロック
  • ¥250

 

Headlights on the parade

シンフォニックなシンセによる流麗なサウンドは感動的だ。

Headlights On the Parade

Headlights On the Parade

  • The Blue Nile
  • ロック
  • ¥250

 

Over the hillside

アルバムの幕開けにふさわしい曲。静かに始まり、徐々に舞い上がっていく感じがよい。

Over the Hillside

Over the Hillside

  • The Blue Nile
  • ロック
  • ¥250

 

 

Vol.32 MINUTE BY MINUTE THE DOOBIE BROTHERS 1978

ポップでメロウ、さわやかな

ブルー・アイド・ソウルの味わい。

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ミニット・バイ・ミニット/ザ・ドゥービー・ブラザーズ

 2曲のグラミー賞受賞シングルを含む、ウエスト・コースト・ロックの名盤。バンド史上、最も売れ、最も高い評価を得た。全米1位。

 

 マリファナ兄弟という意味のドゥービー・ブラザーズには、2つの時代がある。ひとつは、豪放で切れの良いギターが印象的な<トム・ジョンストン時代>。もうひとつは、キーボード中心のメロウで洗練された<マイケル・マクドナルド時代>だ。

 

 『ミニット・バイ・ミニット』は、マクドナルド時代>を代表するアルバムである。ドゥービーのファンにしてみれば、ジョンストン派VSマクドナルド派と分かれるところだろうが、それぞれ良さがある。

 

 個人的には、ジョンストン時代では「Long train running」のある『キャプテン・アンド・ミー』が好きだし、マクドナルド時代ではこのアルバムだ。

 

 その理由は、「What a fool believes」と「Minute by minute」という強力なナンバーがあるからだ。どちらも1979年のグラミー賞を受賞している。「What a fool believes」は、<最優秀レコード>、<最優秀ソング>、<最優秀アレンジメント>を受賞。

 

 「Minute by minute」は、<最優秀ポップグループ>を受賞している。特に前者はマクドナルドとケニー・ロギンズが共作した名曲。あのキーボードのリフはちょっとした発明だし、流れるようなメロディも完璧だ。後者もマクドナルド作で、こちらもメロディが心地よく、ゆるやかなグルーブがいい。

 

 この2曲が突出して素晴らしいので、他の曲の印象が少しかすんでしまうが、あらためて全曲通して聴くと、マクドナルドの持ち味である、ブルー・アイド・ソウル色が強いものの、もともとあった、パット・シモンズが得意なカントリーのテイストは健在だ。

 

 それにタイラン・ポーターの黒いベースとダブルドラムが生むキレのあるリズムはファンキー。全体的にまろやかな雰囲気漂う、聴き心地のよい作品に仕上がっている。

 

 洗練されたウエスト・コースト・ロックというと、スティーリー・ダンを思い浮かべてしまうが、それもそのはずでマクドナルドは、一時期スティーリー・ダンに在籍していたわけだし、マクドナルドをドゥービーに誘ったジェフ・バクスターも元スティリー・ダンだ。

 

 中心人物であり看板ギタリストであったジョンストンが脱退した後に、違った音楽性を持つキーボード・プレイヤーのマクドナルドを誘って、特にもめることなく、がらりとサウンドを変えて、すんなりと活動したことは驚きである。

 

 おおらかなのか、いい加減なのか、あるいはスティーリー・ダンみたいなロックをやりたかったのか、ともかくもくろみは成功したということだ。

 

 4年後にドゥービーは解散した。同じ年にはイーグルスも解散。すでにスティーリー・ダンも、リトル・フィートも活動停止、解散しており、アメリカン・ロックが面白かった時代は、いったん終わった。

 

 ふりかえると80年代、アメリカの音楽シーンは、マドンナやマイケル・ジャクソンなどスーパースターの活躍があったものの、英国のそれに比べると、つまらなかった。あくまで個人的な意見だけど。

 

♪ 好きな曲

 

What a fool believes

全米1位。共作者のケニー・ロギンズのバージョンもいいけど、やはりドゥービーの方が好み。

 

 

 

Minute by minute

全米14位。アクースティック・ギターで弾くラリー・カールトンのバージョンもなかなか。

 

 

 

How do the fools survive?

スティーリー・ダンのようなファンキーなロックナンバー。

 

 

Vol.31 WHO’S NEXT THE WHO 1971

初の1位を獲得、代表曲が並ぶ、

創造性と進化のピークを示した必聴作。

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フーズ・ネクスト/ザ・フー

 楽曲、パフォーマンスと、ザ・フーがもっとも創造性を発揮したアルバムであり、彼らの最高作といっていい。もちろん、ブリティッシュ・ロックの名盤だ。全英1位、全米4位。

 

 今では、ファンも評論家も認める名盤であるが、メンバーのピート・タウンゼントは、当初このアルバムのことを嫌っていた。

 

 「これは妥協したアルバムだ。当時、僕らが持っていた最高のものでできているけど、すべてが劇場用のプロジェクト、映画用のアイデアだ」と(でも、最高のものとは認めているね)。

 

 そう言うのも分かる。なぜなら曰く付きのアルバムだからだ。ここに収められた楽曲は、もともとピートが考えたプロジェクト<ライフハウス>のために作られたものであった。

 

 <ライフハウス>とは、風変わりなストーリーを持った、映画、演劇、オペラのようなものだったらしい。しかし、プロジェクトは結局頓挫してしまった。そこで共同プロデューサー兼エンジニアのグリン・ジョンズ(レッド・ゼッペリン、ローリング・ストーンズ、スモール・フェイセスなどの作品を手がけた)が、コンセプトなど持たせずに曲の寄せ集めでアルバムを作ろうと進言して完成させた。

 

 コンセプトのしばりがなくなったおかげで、楽曲のクオリティ優先で選ばれたのだろう。『フーズ・ネクスト』は、「Baba O’riely」、「Won’t get fooled again」「Behind blue eyes」といった、ザ・フーの代表曲(ロック・クラシックスでもある)を含む、充実した内容となった。全楽曲よく作り込まれている印象が強く、埋め草的な曲がない。

 

 ほぼ全曲を書いたピートのソングライティングは冴えわたっており、シンセサイザーシーケンサーの使いかたのセンスも、この時代にしては進んでいる。

 

 演奏もすばらしく、とくにロジャー・ダルトリーの歌声は表現豊かで、繊細な表情を見せてくれる。こんなに上手い人だったっけと驚いたくらいだ。

 

ザ・フーは、ハードロックで分類されることが多いが、レッド・ゼッペリンやディープ・パープルと比べると、ずいぶんとソフトでライトである。そのへんが個人的に気に入っているが、反対に本国ほど、日本で人気がないのはそこが原因かもしれない。

 

 このアルバムでも、ちょっとハードなロックンロールナンバーはあるが、全体的には、軽快でメロディやアレンジが際立っている印象が強い。

 

 個人的には「Song is over」、「Getting in tune」(両方とも、ゲストのニッキー・ホプキンスのピアノがいい)といった、のどかな趣きの、少し複雑な展開を見せる曲は気に入っている。

 

 ところで、アルバムのジャケットの写真だが、なぜモニュメントのような巨石に立ちションなのか。何か意味が込められているのかと思ったが、特にないようで、メンバーも何も説明していない。当初は太った裸の女性を使った案を考えていたらしい。こういう不遜なところは、やはりザ・フーらしい。

 

♪好きな曲 

 

Baba O’riley

ミニマルなシンセのフレーズとヴァイオリンが印象的な高揚感あふれる曲。米国TVドラマ「CSI:ニューヨーク」のオープニング曲。

Baba O'Riley

Baba O'Riley

 

Won’t get fooled again

邦題は「無法の世界」。シングルカットされ全英9位、全米15位。アルバムは8分半のロングバージョン。米国TVドラマ「CSI:マイアミ」のオープニング曲。

Won't Get Fooled Again

Won't Get Fooled Again

 

The song is over

ライブでは演奏されなかった(らしい)曲。後半にかけての盛り上がりが素晴らしい。

The Song Is Over

The Song Is Over

 

Vol.30 OFF THE WALL Michael Jackson 1979

名曲、佳曲そろった、元気はつらつ、

楽しさいっぱいのソウル。

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 オフ・ザ・ウォール/マイケル・ジャクソン

 全米シングルチャートトップ10に4曲を送り込んだ傑作、マイケルの実質ファーストソロであり、その後の成功のきっかけとなった作品である。全米3位。

 

 ふり返れば、マイケルにとって最後のソウルアルバムとなった。次作のモンスターアルバム『スリラー』以降は、ソウルの枠を超えて、ロック、ポップスとの融合が図られていく、つまりキング・オブ・ポップへの道へと歩んでいくわけで、その分、ソウルの黒さやしなやかさは中和されていく。

 

 しかし、『オフ・ザ・ウォール』はソウル成分の濃いアルバムだ。ディスコもあり、メロウもありと、この時代らしいブラックミュージックとなっている。きらびやかで楽しさがつまったソウルを味わうことができる。

 

 『オフ・ザ・ウォール』は、ソロアルバムとしては5作目だが、実質的にはファーストソロのようなポジションで扱われることが多い。なぜなら、前作までは主導権はレーベルのモータウンにあったこともあり、マイケルがやりたいことをやれたわけではなかった。

 

 しかしこのアルバムからは部分的にプロデュースも行っており、はじめてやりたいことができた。それが関係していたからなのか、はつらつとした雰囲気に仕上がっている。ジャケットのマイケルもにっこり、笑顔のマイケルなんて、これ以降のアルバムでは見かけない。

 

 プロデュースはクインシー・ジョーンズ。70年代のクインシーはソウルとジャズを一緒にしたような、フュージョンイージーリスニング中心の傑作アルバムをA&Mから出していた。そのあたりの洗練されたアレンジがここでも発揮されている。

 

 楽曲はダンサンブルでポップな曲、メロウなAOR調の曲など聴いていると楽しくなるものばかり。4曲の全米トップ10シングル(そのうち全米1位が2曲)を出したのも納得できる。

 

 注目曲は、マイケルが作詞作曲をてがけた「Don’t stop till you get enough」。軽快なディスコナンバーでマイケルのファルセットは冴え、独特の節回しでノリノリに歌う。同じくシングルヒットした「Rock with you」、「Off the wall」もメロディとグルーブが気持ちよく、いまではソウルの名曲だ。

 

 シングル曲以外も粒ぞろい。スティービー・ワンダー提供の「I can help it」、デヴィッド・フォスター&キャロル・べイヤー・セイガーといったヒットメイカー作の「It’s the falling in love」も、ポール・マッカートニーがマイケルのために書いた「Girlfriend」(ポールのバージョンは『London Town』に収録)もキュートだ。いずれもシングルカットされたらヒットしていたかもしれない出来ばえだ。

 

 個人的にはマイケルへの関心は『スリラー』あたりまで。ジャクソン5時代を除けば、マイケルは『Off The Wall』1枚で十分だ。マイケルにしても『スリラー』以降、世界的スターにはなったが、トラブル続きで徐々にキワモノ扱いされていく。

 

 それだけに『Off The Wall』でのイノセンスな輝きがいっそう際立つ。マイケルに興味が無くても、70年代ソウルの名盤として聴いてもらえるとうれしい。

 

 ♪好きな曲

 

Don’t stop till you get enough

全米1位、グラミー賞最優秀R&B男性ヴォーカル賞受賞。アレンジもさえている。

 

 

 

Rock with you

全米1位、一晩中、君とロックしたいという他愛もない歌だが、メロディがとてもいい。

 

Rock with You

Rock with You

 

 

It’s the falling in love

パティ・オースティンとデュエット。こういうメロウなポップスも似合う。

 

 

It's the Falling in Love

It's the Falling in Love

 

 

Vol.29 Roger Nichols & The Small Circle Of Friends 1968

甘酸っぱいメロディに美しいコーラス、

渋谷系に愛された、浮世離れしたポップソング。

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ロジャー・二コルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ

 キュートで洒落たポップソングがつまった、ちょっとカルトな名盤だ。渋谷系アーティストに愛されたこともあって、日本では何度も再発されるロングセラーのアルバムでもある。

 

 明るいけれど、ほんの少しさびしさが混じったメロディに、美しいコーラス、夢見心地になるような雰囲気…そんな音楽を知らない?と、たずねられたら、このアルバムは必ずすすめるだろう。

 

 今では名盤とされてはいるが、本国でリリースされた当時は売れなかった。ところが、日本では初CD化(1987年)されて以来、幻の名盤のような扱いで知られるようになった。

 

 渋谷系アーティスト、中でもピチカート・ファイブやフリッパーズ・ギターによる愛情たっぷりにリスペクトされたことが大きかった。その影響もあり知名度が広まったのである。その当時HMVやWAVEといったCDショップではけっこうレコメンドされていた印象がある。

 

 グループの中心人物であるロジャー・二コルズは、A&Mレーベルのソングライター、シンガーだった。A&Mは、ハーブ・アルバート、セルジオ・メンデス&ブラジル’66、バート・バカラックカーペンターズなどが在籍していたことからも分かるように、イージーリスニングや中道的なポップスを得意としたレーベルであった。

 

 二コルズは、66年にマレイとメリンダのマクレフォード兄妹と、スモール・サークル・オブ・フレンズを結成。フォークやコーラスグループから影響を受けた、ドリーミーな三声コーラスと、やさしく美しいメロディ、斬新なアレンジ(マーティン・ペイチやニック・デカロなど)が持ち味だ。

 

 アルバムでは二コルズやマレイのオリジナル曲の他に、ビートルズラヴィン・スプーンフルバート・バカラック、キング&ゴフィンの曲も取り上げている。

 

 二コルズの作風といえば、後にカーペンターズに書いた曲のように、しっとりとした少し切なさを含んだメロディが印象的だったが、ここでは「Love so fine」、「Don’t take your time」のような、パッと心が明るくなるようなメロディが際立っている。

 

 とても素敵なポップスがつまったアルバムではあったが、セールスはふるわず、グループは解散した。68年ごろというのは、アメリカ社会は大きな変動の時期であったし、音楽も新しいロックやフォークが台頭してきた時期でもある。そんな中で、浮世離れした中道的なポップスは求められなかったのかもしれない。

 

 ただ、二コルズはこの後、ポール・ウイリアムズとチームを組み、カーペンターズの大ヒットシングル「We’ve only just begun(愛のプレリュード)」、「Rainy days and Mondays(雨の日と月曜日は)」など名曲を生んだ。

 

 そして驚くことに2007年、オリジナルメンバーによって新作『Full Circle』が発表された。みずみずしく美しいメロディとコーラスは健在だった。

 

 それだけでも驚きなのだが、2012年には『My Heart is Home』を発表し、ふたたび驚かされた。今どき、こういうタイプの音楽はあまりないようなので、聴き継がれてほしいと思う。

 

♪好きな曲

 

Love so fine

ヴォーカルはメリンダ。なんてキュートなメロディなのだろう!

 

Don’t take your time

弾むようなメロディに完璧なコーラス。それにストリングスとブラスのアレンジが素晴らしい。

 

Snow queen

キャロル・キングのソロデビュー前の曲。隠れ名曲でコーラスがとてもエレガント。

 

このアルバムは、 iTunesにはないので、『Full Circle』と『My Heart is 』から2曲。

ほとんど変わっていない。

 

 カーペンターズに書いた「愛のプレリュード`』をセルフカバー。

 

 これもポール・ウィリアムズと書いた曲

 

The Drifter

The Drifter

 

 

Vol.28 The Joshua Tree U2 1987

アメリカ音楽への憧憬がもたらした、

深みと多様性。名盤にふさわしい風格。

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ヨシュア・ツリー/U2

 U2がひとつの高みへと到達したことを告げたアルバムだ。アメリカのルーツミュージックへの憧憬から生まれた多様性と深み。はじめから名盤が約束されたような風格が漂っている。全米1位(9週間連続)、全英1位、’88年のグラミー賞アルバム・オブ・ザ・イヤー受賞作。

 

 U2が本領を発揮し、並のロックバンドではないことを示すのは90年代からだ。それでも『ヨシュア・ツリー』は、出世作『WAR』にあったアイリッシュとしてのアイデンティ、むき出しの熱さ、青臭さがほどよく抑えられ、百戦錬磨のバンドのような渋味さえも漂う作風となった。

 

 音楽性に深みが加わり、楽曲は多彩さを増し、スケールも大きくなった。おかげで代表曲にふさわしい曲がずらりと揃った。その理由は2つ。ひとつはR&B、カントリー、ゴスペル、ロックンロールなどアメリカのルーツミュージックからの影響である。

 

 面白いことに、U2のメンバーはそれまで、アイルランドやアメリカのルーツミュージックに興味がなかったという。ところが、ボブ・ディランブルース・スプリングスティーンなどとの交流から、アメリカ音楽の奥深さにひかれていくようになり、曲づくりに反映させた。

 

 ふたつめはプロデュースだ。前作に引き続きブライアン・イーノとダニエル・ラノワが起用された。前作『焔(ほのお)』で創り上げた、アンビエントミニマル・ミュージック的なデザインが施された音空間は、今作でみごとに曲と溶け合いサウンドカラーを決定づけている。

 

 斬新な音響によって、U2のまっすぐな熱さ(時として聴き手を疲れさせる)がコーティングされ、静謐と情熱が絶妙に交じり合ったサウンドが生まれた。

 

 聴きどころは前半だ。冒頭からの4曲の流れが素晴らしい。オープニングの高揚感が持続され、早くもクライマックスを迎える。いずれもライブでは、オープニングや終盤を盛り上げる、とっておきの曲だ。以前、東京ドームで観たライブでも、終盤の「Bullet the blue sky」、「Where the streets have no name」には鳥肌が立ったものだ。

 

 後半は前半と比べれば少々地味だが、ギターリフが心地よいグルーブを生む「One tree hill」や、初期のサウンドを思わせる「In god country」など粒ぞろいだ。

 

 ジ・エッジのギターもさらに進化している。細かなカッティングは打楽器のように強烈だし、アルペジオからのフレーズはディレイなどエフェクターの駆使によって、浮遊感のある響きをもたらしている。バリバリとソロを弾くタイプではないが、革新性をもたらした名ギタリストだと思う。

 

 アメリカ音楽への旅は次作『魂の叫び』で一応終わる。次なる巡礼の地はヨーロッパ。U2は『アクトン・ベイビー』をベルリンで録音、エレクトロニックなダンスビートをまとった新しいサウンドを披露した。アイデンティティをめざして、アメリカ、ヨーロッパへ移っていく様は、デイヴィッド・ボウイの辿った道と同じで面白い。

 

♪好きな曲

 

Where the streets have no name

荘厳なイントロから疾走感ある展開が素晴らしい。2002年のスーパーボウルでの演奏は感動的だった。

 

 

Where the Streets Have No Name

Where the Streets Have No Name

  • U2
  • ロック
  • ¥250

 

 

I still haven’t found what I’m looking for

邦題「終わりなき旅」。分かりすく親しみやすい曲で、シングルカットされ全米1位。

 

I Still Haven't Found What I'm Looking For

I Still Haven't Found What I'm Looking For

  • U2
  • ロック
  • ¥250

 

 

With or without you

穏やかな始まりから、徐々にエモーショナルになって聴き手を鎮めるように終わる。なんてカッコいい展開。シングル第2弾で全米1位。

 

With or Without You

With or Without You

  • U2
  • ロック
  • ¥250