若い人のための洋楽ロック&ポップス名盤案内

やがて聴かれなくなるかもしれない'60~'80の海外ロックやポップスの傑作(個人的な意見)を紹介します。

Vol.5 From Langley park to Memphis Prefab Sprout 1988

屈指のメロディメイカー率いる、

英国ロックの至宝が放った快心のヒット作。

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ラングレーパークからの挨拶状/プリファブ・スプラウト

 英国ロック、ポップの至宝と呼ばれるバンドのサードアルバムだ。代名詞的作品ではないが、全英トップ5に入ったヒット作である。誰もが知る名盤というより、知る人ぞ知る裏名盤、あまり教えたくない隠れ名盤といったところか。

 

 その寡作ぶりもあってThe Blue Nileとともに至宝どころか秘宝あつかいされているプリファブは、‘80年代のギターポップネオアコの代表的なバンドとして紹介されることが多い。

 

 もっとも当たらずも遠からずといった感じで、Aztec Cameraのようにギターがキラキラしているわけではないし、言われるほどアクースティックでもない。ポップという点では、むしろXTCに近い気がする。

 

 プリファブの中心人物はパディ・マクアルーン。同時代ではエルビス・コステロと並ぶ英国屈指のソングライターと評されるが、ブライアン・ウィルソンポール・マッカートニーバート・バカラックと並べても遜色のないメロディメイカーだと思う。

 

 ちょっとクセのある美しいメロディと、風変わりなコード展開、そしてウェンディ・スミスの天使のささやきヴォイスがプリファブのサウンドの特徴だ。パディの書くメロディはロマンチックで甘美、ガーシュインコール・ポーターなどジャズエイジの作曲家が書きそうなテイストなものが多い。

 

 前作『スティーブ・マックイーン』は、青臭さとプロデューサーのトーマス・ドルビーの凝ったサウンドデザインが見事にマッチした傑作で、こちらの方が代名詞に挙げられることが多い。それでも、この3作目の方が楽曲の完成度も高く、高い評価による自信もついたのだろう。堂々としたアルバムになった(ジャケットはいまいち)。

 

 それまでの繊細さとみずみずしさは少なくなったが、弾けるようなポップチューンやロックンロールタイプの曲も加わり、ハツラツさが増え音もゴージャスになった。この明るさと親しみやすさが、たぶんヒットにつながったのではないか。歌詞は分かりづらいものもあるが、サウンドは実に気持ちが良く一気にスルッと聴けてしまう。

 

 次作「ヨルダン:ザ・カムバック」がプリファブの最高傑作と言われている。ただバンドとして機能したのはこのあたりまで。徐々にメンバーが抜け、表立った活動も少なくなり、パディの病気療養などもあって長い沈黙に入る。

 

 もう新作は聴けない、そう思っていた。ところが2009年、「レッツ・チェンジ・ザ・ワールド・ウィズ・ミュージック」で8年ぶりに復活。純粋な新作ではないが、僕は聴きながら涙ぐんでしまった。そして2013年、新作「クリムゾン/レッド」でパディは帰ってきた。

 

 キュンとくるようなメロディも声も健在、日本のミュージシャンにもファンが多いようで、ツイッターで歓喜と絶賛の声を見かけたものだ。次作を聴けるのがいつになるか予想できないが、今度は希望をもって待ち続けることができる、それだけでもうれしいのだ。

  

♪好きな曲

 

Cars and girls

ポップなメロディが走るアップテンポナンバー。ウェンディのチャーミングなコーラスが効いている。

 

 

Cars and Girls

Cars and Girls

 

Hey Manhattan!

派手なストリングスに乗ってN.Yに来た歓びが歌われる。きらめきと高揚感が素晴らしい。

 

 

Hey Manhattan!

Hey Manhattan!

 

Enchanted

カッコいいベースと繰り返される転調が、不思議な雰囲気に引き込んでくれる

 

 

Enchanted

Enchanted