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若い人のための洋楽ロック&ポップス名盤案内

やがて聴かれなくなるかもしれない'60~'80の海外ロックやポップスの傑作(個人的な意見)を紹介します。

Vol.29 Roger Nichols & The Small Circle Of Friends 1968

甘酸っぱいメロディに美しいコーラス、

渋谷系に愛された、浮世離れしたポップソング。

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ロジャー・二コルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ

 キュートで洒落たポップソングがつまった、ちょっとカルトな名盤だ。渋谷系アーティストに愛されたこともあって、日本では何度も再発されるロングセラーのアルバムでもある。

 

 明るいけれど、ほんの少しさびしさが混じったメロディに、美しいコーラス、夢見心地になるような雰囲気…そんな音楽を知らない?と、たずねられたら、このアルバムは必ずすすめるだろう。

 

 今では名盤とされてはいるが、本国でリリースされた当時は売れなかった。ところが、日本では初CD化(1987年)されて以来、幻の名盤のような扱いで知られるようになった。

 

 渋谷系アーティスト、中でもピチカート・ファイブやフリッパーズ・ギターによる愛情たっぷりにリスペクトされたことが大きかった。その影響もあり知名度が広まったのである。その当時HMVやWAVEといったCDショップではけっこうレコメンドされていた印象がある。

 

 グループの中心人物であるロジャー・二コルズは、A&Mレーベルのソングライター、シンガーだった。A&Mは、ハーブ・アルバート、セルジオ・メンデス&ブラジル’66、バート・バカラックカーペンターズなどが在籍していたことからも分かるように、イージーリスニングや中道的なポップスを得意としたレーベルであった。

 

 二コルズは、66年にマレイとメリンダのマクレフォード兄妹と、スモール・サークル・オブ・フレンズを結成。フォークやコーラスグループから影響を受けた、ドリーミーな三声コーラスと、やさしく美しいメロディ、斬新なアレンジ(マーティン・ペイチやニック・デカロなど)が持ち味だ。

 

 アルバムでは二コルズやマレイのオリジナル曲の他に、ビートルズラヴィン・スプーンフルバート・バカラック、キング&ゴフィンの曲も取り上げている。

 

 二コルズの作風といえば、後にカーペンターズに書いた曲のように、しっとりとした少し切なさを含んだメロディが印象的だったが、ここでは「Love so fine」、「Don’t take your time」のような、パッと心が明るくなるようなメロディが際立っている。

 

 とても素敵なポップスがつまったアルバムではあったが、セールスはふるわず、グループは解散した。68年ごろというのは、アメリカ社会は大きな変動の時期であったし、音楽も新しいロックやフォークが台頭してきた時期でもある。そんな中で、浮世離れした中道的なポップスは求められなかったのかもしれない。

 

 ただ、二コルズはこの後、ポール・ウイリアムズとチームを組み、カーペンターズの大ヒットシングル「We’ve only just begun(愛のプレリュード)」、「Rainy days and Mondays(雨の日と月曜日は)」など名曲を生んだ。

 

 そして驚くことに2007年、オリジナルメンバーによって新作『Full Circle』が発表された。みずみずしく美しいメロディとコーラスは健在だった。

 

 それだけでも驚きなのだが、2012年には『My Heart is Home』を発表し、ふたたび驚かされた。今どき、こういうタイプの音楽はあまりないようなので、聴き継がれてほしいと思う。

 

♪好きな曲

 

Love so fine

ヴォーカルはメリンダ。なんてキュートなメロディなのだろう!

 

Don’t take your time

弾むようなメロディに完璧なコーラス。それにストリングスとブラスのアレンジが素晴らしい。

 

Snow queen

キャロル・キングのソロデビュー前の曲。隠れ名曲でコーラスがとてもエレガント。

 

このアルバムは、 iTunesにはないので、『Full Circle』と『My Heart is 』から2曲。

ほとんど変わっていない。

 

 カーペンターズに書いた「愛のプレリュード`』をセルフカバー。

 

 これもポール・ウィリアムズと書いた曲

 

The Drifter

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