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若い人のための洋楽ロック&ポップス名盤案内

やがて聴かれなくなるかもしれない'60~'80の海外ロックやポップスの傑作(個人的な意見)を紹介します。

Vol.35 ABBEY ROAD  THE BEATLES 1969

60年代 イギリス

再び生まれた4人のマジック、

有終の美にふさわしい輝きを放つ。

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アビー・ロード/ザ・ビートルズ

 最高作に挙げられることが多い、ビートルズの(実質的な)ラストアルバム。解散風の吹き荒れる中でも、4人の才能がフルに発揮され、完成度の高い作品となった。全英、全米ともに1位。

 

 最高作と言われるわりには『アビー・ロード』はそれに見合った評価がされていない(気がする)。不朽の名盤として半ば神格化されている『サージェント・ペパーズ~』、革新性が高評価の『リボルバー』と比べると、地味な扱いを受けているふしがある。

 

 それでも『アビー・ロード』は有終の美を飾るにふさわしい、ビートルズの到達点といっていい。確かに際立つような革新性は(表立っては)感じられないが、楽曲、編曲、演奏には4人がこれまで得てきたものが成熟されたかたちで表現されている。

 

 クラシック、ポピュラー問わず様々な音楽のハイブリッドを究めながらも、大衆的なスタイルで表現してきた彼らが最後に創り出したのは、普遍性の高いロックだ。

 

 ’69年といえば、色々なスタイルのロックが育っていた時期だが、そんな中でもビートルズは、わが道を行くと言わんばかりにプレーンなスタイルで臨んだのである。

 

 それゆえに革新性がないということで、素晴らしい内容なのにそれほど高く評価されていない。しかし、その普遍性が21世紀の今でも鮮度を保たせている。オールディーズなのに古臭さを感じさせない。

 

 『アビー・ロード』の制作は、とん挫したゲット・バック・セッション(後にラストアルバム『レット・イット・ビー』としてまとめられる)の3か月後、’69年の5月頃にポールがジョージ・マーティンにプロデュースを依頼したところから始まる。

 

 この時期のビートルズはというと、解散の雰囲気が漂い、ビジネスをめぐるメンバー間の対立などごたごた続きであった。そういう状況の中で制作が進められていくわけだが、録音は精力的に行われたという。

 

 楽曲の半分くらいは『アビー・ロード』の制作前に作られているが、これが最後かもという気持ちがそうさせたのか、険悪だったゲット・バック・セッションとは対照的な雰囲気だったようだ。それがうまくいって、完成度は高い作品に仕上がった。

 

 聴きどころは最後を締めくくるメドレー。見事というしかない。いまひとつな曲もあるが構成が巧みで、粗が気にならないどころか感動すらしてしまう。ポールの卓越したアイデアと編集能力の賜物だ。

 

 ポール、ジョージ、ジョンのギターソロの掛け合いも、リンゴのドラムソロも美しいコーラスだってある。アルバムの最後にぴったりのジ・エンドだ。

 

 その他にも「Something」「Here comes the sun」というジョージの素晴らしい2曲、後に「あれはポールのアルバムだ」と批判めいたことを残したジョン作のブルーズ「Come together」「I want you」、いい箸休めのようなリンゴの曲もあってバラエティに富んでいる。

 

 なんだかんだ言っても、4人はビートルズへの愛とプライドをしっかりと証明してくれた。余力も未練もまだあるうちに、これで終わりにしたという選択はファンから見れば残念だが、彼らとしては精一杯の別れのあいさつだったのだろう。

 

♪好きな曲

 

Here comes the sun

ポジティブな歌詞とさわやかな曲調が心地よい。カバーも多い、ジョージの大傑作。 

Here Comes the Sun

Here Comes the Sun

 

Come together

冒頭の`シュッ’がshoot me(俺に打て)というのは有名な話。リフがカッコいい。

Come Together

Come Together

 

You never give your money

ポールらしい美しいメロディ。小組曲のような構成は彼の十八番になる。

You Never Give Me Your Money

You Never Give Me Your Money