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若い人のための洋楽ロック&ポップス名盤案内

やがて聴かれなくなるかもしれない'60~'80の海外ロックやポップスの傑作(個人的な意見)を紹介します。

Vol.40 Stand ! SLY & THE FAMILY STONE 1969

60年代 アメリカ

ファンクであり、ロックでもある、

愉快なブラックミュージック。

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スタンド!/スライ&ザ・ファミリー・ストーン

 ソウル、ファンク、ロックが絶妙に交じり合ったスライ流ブラックミュージックが開花、名曲ぞろいでグループの出世作となった。200万枚ものセールスを記録し、全米13位。2年間もチャートインした。

 

 スライ&ザ・ファミリー・ストーン(以下、スライ)の面白さは、ブラックミュージックの中にあっても、真っ黒でないことだ。

 

 ファンクでありながら、ロックでもあったりする。他のファンク、たとえばジェイムズ・ブラウンと聴き比べてみるとブラックの濃度が違う。スライは白人のロックやポップスみたいな部分もあり、ブラック一辺倒ではなく、グラデーションがかかっている。

 

 このグループが黒人白人、男女、家族と他人の3つのレイヤーを持った混成であること。そして、さまざまな人種と異文化を飲み込んだベイエリア、サンフランシスコで生まれたということがそうさせたかもしれない。

 

 そんなバックグラウンドから生まれた、ユニークなスタイルが開花したのが本作『スタンド!』だ。はじめてのシングル全米1位「Everyday people」をはじめ「Stand!」「I want to take you higher」「Sing a simple song」といったソウル、ファンクの名曲が揃っている。

 

 ポップなメロディ、キレのよいリズム、いかしたホーン、男女リレーで歌うヴォーカル、ゴスペルを思わせるコーラスがみごとに溶け合った、愉快でカッコいいアンサンブルは、スライ流としか言えないスタイルだ。

 

 歌には、'69年という時代らしく、<立ち上がろう!>、<ニガーって呼ぶなホワイティ>、<黒人だからといってあきらめずに>…など強くポジティブなメッセージが盛り込まれている。社会を敵視しているわけでもなく、シニカルな部分はあるものの攻撃的でもない。

 

 パワフルなファンクもあるが、ソフトロックのような曲もある。このへんが黒人白人混成グループらしい。また、エレクトリック時代のマイルズ・ディビスを思わせる13分ものジャムナンバーもあって、スライの面白さがつまった作品に仕上がっている。

 

 前作のセールス不振をばん回するべく、音楽理論オーケストレーションの本を手に、レコーディングに取り組んだだけのことはあった。

 

 その後、スライはウッドストックへの出演、シングルヒット(全米1、2位)連発と快進撃をみせたが、ドラッグによるスライ・ストーンの不調やコンサートのキャンセル頻発などトラブルが続いた。

 

 それでも、'71年には大傑作アルバム『暴動』(全米1位)を発表。このあたりをピークに、スライ・ストーンの創造性は輝きを失い、アルバムセールスも下降気味となり失速していく。

 

 やがてグループも解散スライ・ストーンは真の復活を遂げていない。それでも、マイルズ・ディビスやプリンスなど、さまざまなアーティストに影響を与えたし、本作の歌詞は、寛容性や多様性を失いつつある、いまの世界にも響くかもしれない。

 

 いや、そんなことはどうでもいい。楽しくて面白い音楽なのだ。聴かないのはもったいない。

 

♪好きな曲

 

Stand!

2分16秒からのファンキーなコーダがあったからこそ名曲となったと言われる。

Stand!

Stand!

  • スライ&ザ・ファミリー・ストーン
  • R&B/ソウル
  • ¥200

 I want to take you higher

ファンクにしてロック。強烈なカッコよさ。デュラン・デュランのカバーもなかなか。

I Want to Take You Higher

I Want to Take You Higher

  • スライ&ザ・ファミリー・ストーン
  • R&B/ソウル
  • ¥200

 Everyday people

僕は普通の人間、人は千差万別、みんな共存しているという楽観的な歌詞が軽快な曲調とぴったり。

Everyday People

Everyday People

  • スライ&ザ・ファミリー・ストーン
  • R&B/ソウル
  • ¥200