Vol.2 Waiting For Columbus LITTLE FEAT 1978
豪快で超・ファンキー、アメリカンロック屈指のライブ盤。
ウェイティング・フォー・コロンブス/リトル・フィート
リトル・フィートの入門盤としてはうってつけだ。それに70年代のアメリカンロックの傑作でもある。ライブ盤ということでは、大名盤の誉れ高いオールマン・ブラザース・バンドの「フィルモアイースト・ライブ」と甲乙つけがたいほど。
フィートには『ディキシー・チキン』という代表作がある。これも名盤だ。それでも、バンドの”凄み”を体験できるという点で、はじめてのフィートにはこちらを薦めたい。テンションと迫力が違うのだ。収録曲もベスト盤といえるラインナップである。
フィートのサウンドを一言でいうならば、アメリカのルーツミュージックのハイブリッドである。R&B、カントリー、ニューオリンズを自家薬籠中のものとしたデフォルメされたサウンドは、ウエストコーストロックの中では少しばかり風変わりだ。
ルーツ臭ぷんぷんのロックではなく、L.A.のバンドらしく都会的な洗練さもあわせ持っている。泥臭さ過ぎず、洗練され過ぎず、そのさじ加減がいい塩梅なのだ。
このライブが録音された1977年、バンドは崩壊直前という危機的状況にあった。それにもかかわらず、パフォーマンスの内容は絶頂期ではないかと思うほど一体感がみなぎっている。
フロントマン、ロウエル・ジョージの時に鋭く切れ込む、時に枯れた味わいスライドギター、参謀ビル・ペインの厚みのあるキーボード、リッチ―・ヘイワードの重くてキレのあるドラムを中心としたアンサンブルが混然となって圧倒してくる。思わず下半身がグイグイと動いてしまう。スタジオ盤がこぢんまりと聴こえてしまうくらい、ダイナミックでスリリング!
イントロから鳥肌が立つ。カウベルのカウントに導かれる、ニューオリンズ・ファンクの重心低めのリズム、そこにロウエル・ジョージの豪放な歌とスライドギターが被さってくると一気に胸が高鳴る。ここから最後までハイテンションで突き進む。
聴きどころは、この冒頭から「Oh Atlanta」までの3曲と、「Dixie Chicken~Tripe Face Boogie」のメドレーである。ご機嫌なノリのニューオリンズR&Bからブギーへとテンポアップしながら一気呵成に走るカッコよさ!なるべく大きな音で聴きたい豪快なサウンドである。
フィートは同時代のドゥービー・ブラザース、イーグルスのように商業的な大成功はできなかったが、今でも旧作のリイシューや発掘音源のリリースが続き人気は根強い。多くのアーティストの作品に参加しているし、その中には傑作も多い。
日本でも鈴木茂の『バンド・ワゴン』、矢野顕子の『ジャパニーズ・ガール』にも参加。いずれもいい仕事をしている。またサザン・オールスターズの「いとしのフィート」のフィートはリトル・フィートのことである。つくづくミュージシャンに愛される、ミュージシャンズ・ミュージシャンタイプのバンドなのだ。
♪好きな曲
Fat man in the bathtub
『ディキシー・チキン』収録のニューオリンズ・ファンク。特にキーボートが冴えていてスタジオ盤より音に厚みがありカッコいい。
All that you dream
ダイナミックなサザンロックタイプの曲。イントロの高揚感といったら!スライドギターの響きも爽快。リンダ・ロンシュタットのカバーもいい味。
Dixie Chicken
ホンキートンク調のピアノソロが増え、デキシ―風ブラスも加わり、ファンキーでおおらかなノリがスタジオ盤より倍増。